快楽のほうは、一部の器官が一時的に享受するだけで、苦痛に較べればその力は弱く、持続も短い。しかし、そうであっても、もろももろの苦痛から逃れようとするために反対方向を求める気持ちが働いて、私たちは、天が残してくれたわずかな快楽に、ひたすら固執しようとするのである。 バッカス(酒の神)も、コモス(食卓の神)も、アルテミス(狩猟の女神)も、新しい厳格な宗教の前に姿を消し、今日では詩の中で回想されるに過ぎない